樹脂粘土などでできたミニチュアフード。
その作り方が習える日本ミニチュアフード協会ですが、会員になってもっとミニチュアフード作りを深めて楽しむこともできます。
一体どんな風に楽しめるのか、このインタビューでは、会員さんたちにお話を聞いていきます!
第1回は、現在、日本ミニチュアフード協会内で唯一、株式会社COREIINA の執行役員を任されているyuReam(ゆりーむ)さんこと斉木ゆりさんです。
2015年の4月にミニチュアフードづくりを習い始め、3年半経った今は日本ミニチュアフード協会(以下協会)の、数々の企業とのコラボ作品作りを任されるほどの腕前になったyuReamさん。
手に職をつけ、協会トップアーティストとして、大好きなことを仕事にしています。
そんなyuReamさんに、ミニチュアフード作りの魅力や、彼女がミニチュアフード作りを始めてから今の立場になるまでの道のりを聞いてみました。
Q. ミニチュアフード作りは3年半前から。それまではお仕事をされていたんですよね?
ものづくりは子供の頃から好きだったんですけど、(大人になってからは)塾の講師や事務の仕事を結構バリバリやっていました。でもある日突然ウイルスが身体の中に入ってしまって(病気になって)。そこから突然8か月も入院することになって。(その時から車いす生活になってしまう。)子供が三歳の頃でした。でもその時にものづくりを始めたんです。
Q. 普通はそこで暗くなりそうですよね?
実は、新しい人生が始まった、と思ったんです!どの程度回復するかわからない、(車いすになるので)これまでの生活とは確実に変わるので。
でも、入院中は自分が「ありがとう」と「すみません」しか言ってないことにきがつきました。そして自分が「ありがとう」って言われる機会はゼロになった、全く言われなくなってることにも気が付きました。
そんな入院生活のなかでのことですが、
同じように入院している人たちは、半身不随の人が多くて(車いすに乗っているので)普段、みんな手を置くクッションを病院から借りて使っていたんです。
ある日、仲の良かった入院仲間の一人が退院することになったときに、私は上半身はなんともなかったので、リハビリの時間を使ってクッションを手作りしてプレゼントしたんです。それがすごく喜ばれて。「ありがとう」って言ってもらえて、自分にもまだ出来ることがあるって思ったんです。子供の誕生日のときも外出ができなかったので、「何か作ってあげよう」と思って、ヘアアクセサリーとか色々作り始めました。ものづくりが好きな自分、というのを、働いていた時は精一杯で忘れていたので、そんな自分に再会できた時間でした。
Q. ものづくりが好きだった、ということを思い出した入院期間、それから車いすの生活になったそうですが、ミニチュアフードに出会ったのはそのあとですか?
退院してから1年半後、子供が小学校に通い始めてからです。退院してからも縫物を中心にエプロンや子供用のアクセサリーをかなりの数作っていて、ものづくりをしたり、教えたりしながら(仕事として)やっていきたいな~という気持ちが芽生え始めた時に、ミニチュアフード教室を見つけました。こんなのも習えるんだ!って思って、すぐに申し込みました笑!
Q. 野津代表によると、その回の一番乗りの申し込みだったそう。
初めて作ったものは何だったんですか?
日本ミニチュアフード協会認定コース(以下認定コース)の一番最初の題材のパンケーキです。もうデコレーションを考えるのが楽しくって!(協会の教室では)基本の作り方を教えてもらったら、そのあとの飾りつけやデザインは自由なんです。決まった形を作ってくださいっていうのがなくって。みんな自分の好きなお店のパンケーキをつくったりして笑、楽しかったんです。
Q. どんなパンケーキを作ったか覚えていますか?
覚えてます!!まだ家に飾ってます!!私は、パンケーキの断面を見せたいなと思って、(丸いパンケーキを)1ピースだけカットした形にしました。
Q. 本当にイメージしたものを自由に作れるんですね。そのあとも受講を続けたんですか?
申し込んだのが1年間の認定コースだったんです。そのあと、パンケーキに乗せるフルーツを作って、クレープ、ラーメン、ミルフィーユ、松花堂弁当、シャルロットケーキを作って、認定試験をうけました。
Q. 認定コースを修了したら、認定試験を受けられるようになる、試験に合格したら協会の会員になるんですよね。
試験を受けるかどうかは自由だそうですが、なぜ受けようと思ったんでしょう?
そこにミニチュアフードの面白さの秘密があるような気がします。
もちろん途中でやめることもできましたが、もう楽しくて、ハマってしまったんです。それまでも、ものを作るのは好きで色んなものを作りましたが、どれも(完成の形が決まっているので)ある程度作ったら満足しちゃって長続きしなかったんです。でもミニチュアの場合はゼロから作れるんですよね。題材は、日常にあるもの、普段食べているものとかなんですが、飾り方やどんなふうに作るかが自由なので、どんな作品を作るのか毎回無限にあるんです。材料も手法もたくさんある。大きさも好きな大きさにできる、デフォルメだってできる、本物みたいにリアルに作ることもできる、だからイメージが湧くし、どうしたら本物みたいになるかなって研究できるし、奥深さを感じました。それが私に合っていました。
Q. 認定試験には見事合格されて、そのあと会員になられますが、そこから今までずっと続けるのはすごいですね。
会員になるとイベントや展示販売会への出展のお誘いがありました。(当時は人数が少なかったので参加のお誘いは会員全員にあった。)自分の作品を人前に出す場があるので、夢中でやっていたらあっという間に時間が過ぎていました。
日本キャンドル協会認定モールドメイキングコース研修会の様子
Q. 会員になると、自分の作品をイベントや展示販売会に出展するチャンスがもらえることもあるんですね。活動されてみてどうですか?
認定講座を受けていた時の理想は、ミニチュアフードの作り方を習って家やカルチャーセンターで教えられたらいいなって思っていたんですが、今はそれ以上の機会がたくさんあるから、もっと作りたい!っていう気持ちが強いですね。もちろん失敗するときもありましたけど、イメージ通りに作れない・・とか。そんなときもなんで失敗したのかな?って考えて研究するのも面白くて!そして完成するとものすごい達成感!なんです!
作った作品も人に喜んでもらえるので、それで得られる満足感は今まで味わったことのない、より大きいものですね。作品を(アクセサリーなどの商品にして売って)身に着けてもらったときや、作品を見た人が驚いてくれたとき、すごく嬉しい、作ってよかったなって思います。いつも自分のために作るってことはまずなくて。人のため、誰かのため、喜ぶ顔が嬉しくて作っています。「つくる」っていうことは、自分の気持ちを全て込めることなんです。
Q. 企業とのコラボ商品を任されることも多いそうですね。
企業さんとのコラボの時は一番緊張しますね。依頼される方のイメージや要求があるので、それにちゃんと応えられるかなって毎回緊張します。何度もやりとりをして作っていくんですが、(要求通りのものが)完成した時にはもう・・・やった!!って!!(嬉しそうに笑う)
ミニチュアフードは、基本的に樹脂粘土で作りますが、認定コースが終わったら、さらに、かご編み、はんだごて、ヒートプレスなどの新しい技術が学べるコースがたくさんあります。
ミニチュアフードには色々な作り方があるので、樹脂粘土を使うだけでなく、極めていくとシリコン型取りや、レジンなど様々な技術が必要になっていき、会員さんは、自分の技術に合わせてコースを受講し、一つずつ学んでいくことができるんです。
野津代表によると、yuReamさんは、協会のなかでただ一人、その全ての技術が身についていて、どんなジャンルのミニチュアフードも自由自在に作れるそうです。
今大人気のロールアイスクリームファクトリーとのコラボ作品
Q. 豊富なアイディアとその技術力で信頼を一つずつ積み上げて、ついに株式会社COREIINAの執行役員に任命されますが、それを伝えられたときはどう思いましたか?
え?!いいんですか?!何か役に立てることがあるのかな?という気持ちと同時に、わくわく感がありました。
Q. 執行役員になってみてどうでしょう?
劇的に何かが変わった、というより、今まで培った事を使って役に立てる、自分の役割を与えてもらったことがありがたいですし、嬉しいです。ずっと憧れていた今は私にはコレ!というのが今ある、
協会で作品を作っているということ、それが仕事になっていること、それが、かけがえのないことですね。
家庭以外に自分が必要とされる自分の世界がある、自分が一つ成し得たこと、やってきた結果としてついてきたもの、という感じです。
Q. やってきた事が認められたわけですね。
恐縮しつつ・・・。途中で挫折することや壁にぶちあたることもありましたが、一つ一つ作り上げてきたことが繋がってきた結果なので、やってきてよかったな、と思います。
Q. 責任感はありますか?
ありますね!いつも期待に応えられるかなっていう。それがプレッシャーになり、やる気につながります。それがまたいいものを作ることにもつながっているんです。
Q. 完全にご自身のキャリアになっているミニチュアフード作り、それだけお仕事として成立されているなかで、ご家族の反応はどうですか?
子供には私が楽しんでいる姿を見せていきたいという思いが強くあるんですが、
作ったものを見せるとかわいい!と喜んでくれたり、これお母さんが作ったんだよ、と友達に自慢してくれたりします。
夫も(一生懸命な姿を見て)ミニチュアフード作りは続けたたほうがいいよ!と協力してくれています。趣味だったことが仕事になるまでになったことには驚いているみたいですが。家に作業場も作ってもらって自分のペースで作業をしていますね。
日本テレビ「ZIP!」にも紹介されたミニチュアパン屋さんの一部
Q. ミニチュアフードのお仕事は、家庭や子育てと両立できるんですか?
協会では、それぞれの家庭の事情や個々のペースを大切にしてくれるんです。ものづくりだから、自分の空いた時間にできますし。私は子供が寝た後、深夜によく作っています。(私は夜が)集中力があがります笑
Q. 家庭と仕事の両立に悩む方も多いですし、ほかの仕事と両立させたい人もいるでしょうからいいですね。
理想的な仕事のスタイルですね。また、好きなこと、楽しい気持ちワクワクする気持ちを(協会の代表やメンバーと)共有できますし。
Q. 好きなことをする喜びを共有できる、そこも魅力なんですね。
自由に作った作品をみんなで見せ合える、誰かに見てもらえるし、他の人が作ったものを見られるのもすごくいいです。一人でただ作って終わるんじゃなくて、さらにイベントや展示販売会などでもっと多くの人に披露するチャンスももらえるし。好きなことを広げられる、得意分野をそれぞれ発見して、それを活かして極める、チャンスをもらえます。人によってスイーツを作るのが得意だったり、和食が得意だったり、ミニチュアラーメン作るのが楽しかったなーとか、それぞれです。また、まだ作ったことのないものにもチャレンジできます。
自分の好きなように描いていけるんですよね。
だから、自分の人生で一つのことを続けるということがこれまでなかった私が、これだけ続いたのかもしれません。あとは・・・野津代表の楽しいことに一直線になっている姿にいつも関わっていたいとも思っています。
Q. 協会に入るととても楽しい毎日が待っていそう!
これから習い始めようかな?入会しようかな?と考えている人へ一言お願いします。
やってみたいな、ってちょっとでも興味が湧いたら、少しでも感じるものがあるなら、別に途中でやめてもいいので、まずやってみて欲しいです。そしたらハマるから笑 絶対楽しいです。
(ミニチュアフードを)見るのが楽しいという方にも、これ自分で作れるんですよ!って言いたいです。一人では作ることは難しくても、教えてもらえると出来ちゃうから、最初は受け身でも全く構わないので、とにかくこの楽しさを知ってほしいです。
私も、始める前と比べると、自分に自信が持てるようになりました。
やっぱりやってよかったな、始めなければ、今がなかったな、と思っています。
ミニチュアフードづくりを仕事にしよう!とかじゃなくても、子育ての息抜きとか、自分の無になれる時間にもなります。
やってみたら、まず、間違いないです!
yuReamさんは、懐かしそうに話しながら、とても嬉しそうな笑顔を何度もみせてくれました。
ひたすら自分の楽しいことに夢中になっていたら、今の立場になり、日本ミニチュアフード協会の欠かせない存在になっていたんですね。
好きな気持ち、そして、人に喜んでもらいたい、そんな気持ちが組み合わさったからこそのyuReamさんの技術、彼女の作品には、本当に細かくてリアルな中に、キュンとするかわいさや、遊び心があります。それは作品を実際にご覧いただければわかるはず!
自分の「楽しい」「得意」を感じて発見して、それを花開かせ、自分のペースを大切にしながら活躍する。
あなたも、日本ミニチュアフード協会でそんな生き方を見つけてみてはいかがでしょうか?
斉木ゆりさんプロフィール
アーティスト名 yuReam
株式会社COREIINA 執行役員
日本ミニチュアフード協会 トップアーティスト
日本ミニチュアフード協会 認定講師/スペシャリスト
会員限定クラス担当
経歴
・日本キャンドル協会認定モールドメイキングコース監修
・ロールアイスクリームファクトリーコラボ商品制作
・玉川高島屋販売・展示
・新宿伊勢丹展示・販売
・ANIME NYC展示(ニューヨーク)
・日本テレビ「ZIP!」作品紹介 他
インタビュー・著 みけ♡