インタビュー

2022.03.11

第15回 日本ミニチュアフード協会会員インタビュー【naoさん】 | 日本ミニチュアフード協会

日本ミニチュアフード協会会員さんへインタビュー 第十五回

樹脂や粘土などでできたミニチュアフード。その作り方を学べる日本ミニチュアフード協会(以下協会)の会員さんをインタビューする本ページでは、アーティストたちを深掘りし、豊かな個性を読者の皆さまにお伝えしています。

第十五回目は、人気作家として活躍されているnaoさんをZoomでインタビューしました。実は私自身、以前からnaoさんの作品のファン。「和菓子」や「中華まん」「マカロン」を眺めては色の配置やモチーフの愛らしさに心ときめき、「餃子」や「お惣菜」を見てはリアルさに心奪われていました。しかしながらInstagramなどを拝見しても、ご本人の姿はなく…。「一体どんな方なの?」と、ちょっぴりドキドキしながらインタビューに挑みました。

naoさん
naoさん
初めまして、こんにちは! 今日はよろしくお願いします。こんな私でよかったんでしょうか?

Q. こんにちは。naoさんの飛び切りの笑顔に、緊張が一瞬で吹き飛びました!そして、インスタのフォロワーが1万人もいらっしゃる人気作家さんなのに、なんて謙虚なんでしょう。今日はSNSなどに顔出しされていない、naoさんの魅力を深堀りさせていただきます。



naoさん
naoさん
ただただ、ミニチュアフードを作るのが楽しくてたまらない人なだけですよ(笑)。インスタなどに顔を出さないのは、単純に恥ずかしいのと、見た方ががっかりしないようにしているだけです(笑)。作品を見てくださったり、購入してくださった方が、作り手のイメージがはっきりしない方が色々と、想像して楽しんでもらえるかなと思っています。

Q. なるほど!  私自身も想像して楽しんでいた一人です。naoさんの作品は、「餃子」「焼き鳥」「お惣菜」といった渋さが魅力的なものから、「スイーツ」「パン」といったキュートなものまで幅広いので、人物像が定まらず妄想が広がります。今日画面越しにお会いして温かい笑顔を拝見し、よりファンになりました。
まずはミニチュアフード作りを始めたきっかけから教えていただけますか?



naoさん
naoさん
出合いは2017年3月でした。仕事を退職し、その後数年間、様々なことに挑戦する中で、文化教室のチラシを見て興味を持ちました。調べてみると自宅の近所にも教室があったのですが、チラシに載っていた野津先生の顔写真に「こんなかわいい方が講師なの?!」と惹かれ、自宅から少し遠かったのですが、協会のクラスを選びました。

Q. なんと! レッスンの内容ではなく、野津先生のビジュアルが決め手ですか?(笑)
naoさん
naoさん
はい(笑)。「こんなに可愛くて、ご自分を磨かれている方が作るものは素晴らしいに違いない! この方に教わりたい」と思いました。体験レッスンも本当に楽しくて、当日直ぐに入会の手続きをし、4月からレッスンに通い始めました。



Q. 野津先生から、習い始めた当初からお上手だったと伺いましたが、もともとアート系のことなどをされていたのですか?
naoさん
naoさん
父親の趣味がDIYだった影響で、小学生の頃からノコギリやトンカチで遊ぶ、ものづくりが好きな子供でした。大人になってからも「興味を持ったことは、とりあえずやってみる」をモットーに、陶芸や縫いもの、畑仕事などなど、現在進行形のものも含め、挑戦中です。ただ、ミニチュアフードは今までの人生で出合ったものづくりの中で、最も自分にしっくりきています。また、協会は自分の大切な居場所になっています。教室のカリキュラムを全て終えた時、「作品を作りたい」という気持ちが強かったため、講師になる道は選びませんでしたが、協会の一員になりたいとの思いから資格を取得し、現在は販売を主とした作家として活動させてもらっています。





Q. 認定レッスン終了後、協会に所属するしないは個人の自由と聞いていますが、そういう理由があって所属されていたのですね。
naoさん
naoさん
会員は皆さん、あったかい雰囲気の素敵な方ばかりですし、居心地が良く…。協会あってこその自分です。
そして、会員として普通は味わえない特別な体験をたくさんさせてもらっています。例えばタレントさんに番組の衣装として自作の海鮮丼やカレーのブローチを着けてもらったり、新聞紙面に作品を掲載してもらったり…。テレビに自分の作品が映るだなんて思ってもみませんでした。


日本ポップコーン協会さんとのコラボ作品を担当




スリーピッグさんとのコラボ作品を担当

Q. 3月26日から、東京都美術館で開催される「AJCクリエイターズコレクション展」にも展示されるそうですね。

naoさん
naoさん
自分には勿体無いお話しで恐縮なのですが、招待作家(協会枠)として選んでいただき、展示することになりました。「小さな小さな飲食店」シリーズの5作品を出品します。百貨店の催事や、ミニコレでも販売していたものを展示用に少し改良したり、新作を出展しています。




Q. 「いらっしゃい!今日は何にする?」という店主の声が聞こえてきそうな「焼き鳥屋さん」、隣の座席に座った常連さんが話しかけてきそうな「おでん屋さん」など、どれも情緒あふれるデザインで痺れます。五つ並ぶと圧巻でしょうね。展示が楽しみです。それにしてもnaoさんの作品は、どれもリアルですよね。アイデアはどこから得ているのですか?



naoさん
naoさん
日常生活にあるものがほとんどです。自然豊かな下町に住んでいるのですが、町に点在する店が、渋くて魅力的で…。もともと食べることが大好きなので、店を訪れるたびに観察しては作品に生かしています。あとは、スーパーマーケットのお惣菜売り場で7年ほど働いた経験があるんです。店の厨房で、実際に焼き鳥や天ぷら、お弁当などを作っていました。その時の経験は作品に生きていると思います。食のプロがコーディネートしたお弁当は、彩り豊かで食欲をそそるものばかりだったので、とても勉強になりました。



Q. お仕事で料理されていたからこそ表現できるリアルさだったのですね! 作る際に心がけていることはありますか?
naoさん
naoさん
手に取ってくれた人の心を満たすような作品を目指しています。
見た瞬間に「美味しそう〜!」と感じて、思わず笑顔になってもらえるようにリアルさを追求したり、元気が湧くような色合いを表現できるように工夫したりしています。



Q. 私もnaoさんの作品の色合いのセンスに心惹かれ、元気をもらった一人です。例えば和菓子シリーズ。「この淡い鶯色と桜色の生菓子の配置のバランスがたまらん! しかも左上の目立つ場所にちょこんと置かれた愛らしい兎が最高!」など、興奮しながら見ちゃいました。



naoさん
naoさん
そんな風に言ってもらえて嬉しいです。
作品作りをしていて、幸せを感じる時が、まさに皆さんからコメントを頂戴した時です。商品を購入してくださった方や、インスタの投稿を見てくださった方が「見ているだけで癒されます」「なんて美味しそうなの?!」「素敵な作品の投稿を楽しみにしています」など、心温まる声をたくさん寄せてくださって…(涙)。どちらかといえば、私自身が皆さんのメッセージに癒されているので、感謝しかないです。







Q. SNSが相互にとって、癒しの場になっている様子が伝わってきました。ところで、販売すると直ぐに完売してしまうnaoさんの作品ですが、特に人気のものなどありますか?
naoさん
naoさん
一番売れているのはボールペンのシリーズです。あとは「小さな小さなお店」シリーズも人気です。モチーフだと一番は餃子で、次に焼き鳥。この二つが特に人気です。「自分だったらどういうものが欲しいかな〜」と考えながら作っているせいか、渋いものが増えてきちゃっています(笑)



Q. ボールペンは、芯を替えてずっと使えるタイプなのも、嬉しいポイントですよね。一番人気の餃子は、焼き色がリアルすぎて今にも肉汁が溢れそう…。何個か裏返っていたり、チャームがビールなところもセンス抜群です。作品の構図は次々と湧くのですか?
naoさん
naoさん
「生みの苦しみ」ももちろんあります。思い通りに仕上がらなくて、何度も何度も作り直したり、考えがまとまらなくて悩んだり…「何じゃこりゃー!」って叫びたくなることも(笑)。そんな時は、日課の愛犬の散歩で、土手沿いを歩きながら空を眺めてリフレッシュします。朝日や夕日、星空を眺めていると、心穏やかになります。「人生、基本楽しく!」と思いながら生きています。辛さを感じたり、精神的に無理したりしないように、自分が楽しめる環境や状況を整えながら行動できたらいいですよね。





Q. 楽しみながら活動されているからこそ、人の心を動かす作品に仕上がっている気がします。最後に今後の展望などあれば聞かせてください。
naoさん
naoさん
これまでと同様に、見てくれた人に満足してもらえる作品を作り続けたいです。あとは、皆さんからのリクエストにお応えできるように頑張りながらも、新作に取り組みたいですね。あとは、sayakaさんに習うミニチュア陶芸に挑戦してみたい…。やりたいことが多すぎです(笑)



菩薩…。naoさんと2時間お話しさせてもらった後、ふと思い浮かんだイメージはこれでした。満面の笑みと明るい人柄、会話の合間にポロッと溢れる優しいメッセージ…。人として見習いたい部分が沢山ある素敵な女性でした。

総括すると、上記のような感想になるのですが、漫画になりそうな面白い人でもあって…(笑)。

専門学校を卒業後、大手企業にお勤めされたかと思えば、退職してスーパーのお惣菜部門で働かれたり、東京マラソンに出場されたり…。とにかく幅広い! ただ、一貫して言えることは「人生を楽しまれていること」そして、ちゃんと息抜きをして「ご自身を大切にされていること」です。だからこそ、見る人が元気になれる作品が作れるのだろうなと感じました。

これからも、思わず笑顔になっちゃう、美味しそ〜な作品をたくさん発信していただきたいです!


naoさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会会員トップアーティスト

千葉県出身、東京都在住。2017年4月に協会のレッスンに参加し、翌年に日本ミニチュアフード協会認定講師の資格を取得。販売を主にしたアーティストとして活躍中。

●活動の様子や新作を掲載しているインスタグラムはこちら
●ミニコレページはこちら

インタビュー /末永朋子
頑張る人が笑顔で活躍でき、報われる社会を目指し、執筆やイラスト制作、デザインなどを行う。モットーは受け取った人の明日が今日より豊かになる情報発信。

※インタビューの内容の中に、現在の協会のシステムと異なる部分もありますが、
会員さんのお話の内容当時のものです。ご了承くださいませ。