インタビュー

2023.02.23

第17回 日本ミニチュアフード協会会員インタビュー【はるかぜさん】 | 日本ミニチュアフード協会

日本ミニチュアフード協会会員さんへインタビュー 第十七回

樹脂や粘土などでできたミニチュアフード。その作り方を学べる日本ミニチュアフード協会(以下協会)の会員さんをインタビューする本ページでは、素敵な個性を持った講師たちを深掘りし、読者の皆さまにお伝えしています。

第十七回目は、東京生まれ東京育ち、生粋の江戸っ子のはるかぜさんです。カラフルな色使いの華やかな作品は、展示会やオンラインショップで大人気。今回のZoom取材で初対面でお会いした時、作品とご本人の雰囲気がぴったりで驚きました。
お話ししていると元気がもらえる素敵な女性で、話の終盤では、温かくて心強い言葉に涙がポロッと…。
また、話の途中で明らかになるのですが、はるかぜさんの娘さんは野津先生と同じ歳で、野津先生のお子さんとはるかぜさんのお孫さんも同級生なのだそう…。ということは、はるかぜさんっておいくつなのだろう…(笑)。画面越しにお話ししていると40代後半の女性なのですが…。20代の女性たちも虜にする繊細でかわいい系の作品を手掛ける、パワフルで元気なはるかぜさんの魅力に迫ります。

Q. こんにちは。作品とご本人の雰囲気に相違が無く、華やかな笑顔が素敵です。まずはミニチュアフードとの出合いから聞かせてください。
はるかぜさん
はるかぜさん

ありがとうございます。
出合いのきっかけは、ハンドメイド通販サイト「minne」で見つけたお花のピアス。「これは何でできてるんだろう」と調べたら、ポリマークレイ(樹脂粘土)で、「粘土ならば私にもできるかも」と、調べるために本屋へ。そこでクレイフラワーの本の横をふと見たら、ミニチュアフードの本もあって。「同じ粘土だ」って(笑)。結局2冊購入し、両方習い始めました。


はるかぜさんのお教室(趣味クラス)で受講できます

Q. すごい発想です。普通は新しいことを一つ始めるだけでも大変なのに…
はるかぜさん
はるかぜさん

今までは「何か始めよう」と思ったら、まず基礎の本を買い、独学で学んでいたのですが、これらを独学で極めようとしたら、私の寿命が…と思って(笑)。どちらかに絞ろうと考えて娘に相談したら「これからは時間もお金も、好きなように自分のために使ってほしい」と背中を押してくれました。

Q. 素敵な娘さんですね。それから楽しくも忙しい日々が始まったのですね。そして、もしも宜しければその時のご年齢を伺っても良いですか?
はるかぜさん
はるかぜさん

うふふ。その時で59歳でした。ミニチュアは月に1回通い、フラワーは毎週。大量の宿題もこなしていました。仕事もしていたので大変でしたが、ワクワクして、楽しくて、寝る間も惜しんでやっていました。その後、軽い粘土で作るDECOクレイフラワーも習い始め、習い事が三つに! 資格を取得した後、自宅で教室を始めちゃったんです。






Q. すごい行動力。エネルギーが満ちあふれていますね。そして、その若々しさ…。年齢は俄には信じられないです。
はるかぜさん
はるかぜさん

確かに、自分でもパワフルだと思います。きっと、好きなことをやっているからですね。でも、神経質な部分もあるので、落ち込むことももちろんありますよ。人生、山あり谷あり。時間が経てば案外、解決しています。「なんとかなるさ」の精神で今までやってきました。

Q. ミニチュアフードの魅力は何でしょうか。
はるかぜさん
はるかぜさん

全く形のない柔らかいモノが、お花や食品に変わっていく様子が楽しい。ミニチュアフードを含め、粘土には限りない魅力があります。形も大きさも自分の思いのまま。それこそハイヒールにもなればハンドバッグにもなる。その魅力は計り知れないですね。



Q. 本当に楽しみながら制作されていることが、伝わってきます。特にどんな時にワクワクしますか。
はるかぜさん
はるかぜさん

難しければ難しいほど燃えます(笑)。画像で見たものを、その形に何とかして作ってやろうと。これはもう戦いですね。どんな素材を選ぶかとても考えます。探究心っていうのかしら。それが強いのかもしれませんね。



Q. 子どものころから、何にでもチャレンジする性格だったのですか。
はるかぜさん
はるかぜさん

全然そんなことないんです。おとなしくて、中学生まではクラスで 目立たない子でした。でも高校生になった時、入学した学校に同じ出身校の子がほぼいなくて「誰も自分を知らないということは、違う自分になれる。変わるなら今だ!」と思い、自分がなりたかった、積極的でアクティブな女性に変わる努力をしました。勉強も頑張りました。結果的に満足できる自分に近づけたと感じます。
Q. そんな、原体験があったのですね。その後は進学なさったのですか?
はるかぜさん
はるかぜさん

社会に早く出たくて。高校卒業後は就職の道を選びました。接客やおしゃべりが好きだったので、まずは渋谷の西武百貨店に就職。その後、一般企業で営業事務として働き、そこで主人と知り合い寿退社。子どもを3人授かりました。女の子が2人いたので、同じ洋服をお揃いで着せたくて、ミシンを買ってきて、自分のワンピースも合わせてお揃いで3着ほど縫っていました。

Q. はるかぜさんのパワフルさは子育て中も変わらずなのですね。育児だけでも大変なのに裁縫も新しく始められるところがすごいです。
はるかぜさん
はるかぜさん

夢中になると寝食忘れてしまって…。子どもが寝た後、毎晩縫っていて、1カ月で20着くらいかな…。すごく楽しかったです。主人や家族は「私が何か始めると1カ月は何も見えなくなる」と思っています。
パン作りにはまった時は毎日、大人5人が食べる量のパンを焼いていました。その時は、スポーツクラブに週5日通い、仕事も午後4時までパートで働いていたんです。帰宅後、飼っていた3匹の犬の散歩に行き、晩ご飯を作りながらパンの仕込みをして、第1次発酵の間にスポーツクラブに行って、帰ってきてから第2次発酵。夜中2時か3時ごろに パンのブログをあげていました。そして、作っていたパンの本の最後のページまでいって全部を作り終えたらパッとやめました。



Q. 納得いくまでやると、スパっとやめることができるのは、潔くてかっこいいですね。ミニチュアフードでもパンを題材にした作品も多く作られています。何か心掛けていることはありますか。
はるかぜさん
はるかぜさん

ミニチュア作りの特徴の一つが、普段の生活で使っているちょっとしたものが大切な道具になるところ。例えば、調味料の小さなキャップなど…、何でも捨てる前に「いつか何かに使えるんじゃないか」と、考えてしまいます。お菓子の箱の中の柔らかい紙、目薬のキャップ、ワインのコルク…。まるでゴミあさりみたいですよね(笑)。でも、とても面白くて、宝探しのようなワクワクする感じがあるんです。



Q. ミニチュアフードにのめり込んでいる様子が伝わってきます。教室に通った後、自宅で講師をやろうと思ったきっかけは何でしょうか。
はるかぜさん
はるかぜさん

一軒家に住んでいるのですが、子供がみんな大人になって巣立ち、部屋が余っていたので「じゃあ、ここで!」という感じです。たまたま、その時期に主人が退職し、私はパートに行ってたのですが、彼だけが家で楽しそうにしているのが、なんか悔しくなって。私も好きなことをしたいなと(笑)。それが、ちょうど資格が取れたタイミングだったんです。まさか、60歳を過ぎて資格を取得し、教室を始めるだなんて考えてもいませんでした。いくつになっても、新たな道は開けることを実感しています。

Q. なるほど。チャンスの女神を逃さない、はるかぜさんらしさが伝わってくるエピソードです。楽しみを自ら引き寄せられているからこそ、作品が華やかなのかな…。作品のデザインに関しては、どこから着想を得ているのですか。
はるかぜさん
はるかぜさん

そうですね、行ったお店で見たものを作ってたり、トレンドを意識してみたり…。携帯やテレビも好きで、ドラマもほぼ100%見ています。情報は常に入れたいと思っています。ミニチュアフードは若い人が身に着けたり、使ったりするものだと思うので、若い感覚は必須。どういうものが受け入れられるかは未知ですが、ジェネレーションギャップは一応埋めないとね。
Q. 完全に埋まってます! 3月9日(木)〜15日(水)まで、渋谷スクランブルスクエアで開催される日本ミニチュアフード協会主催のミニチュアフード展「A Little Bite of Japan 2023」には、どんな作品を出品されるのでしょうか。
はるかぜさん
はるかぜさん

春らしいきれいな色合いの作品を出します。牛皮が透けて、中のカラーが見える、透明感のある和菓子も作りました。お野菜たっぷりのサンドイッチもあります。カラフルなボールペンやシャーペン、ピアスやイヤリングもあります。お茶の棚飾りもちょっとだけプラスしようと思っています。実は棚飾りは主人の力作です。



Q. ご夫婦のコラボ作品も!ご主人もミニチュアを作られるのですね。
はるかぜさん
はるかぜさん

棚飾りの材料をたくさん買って、参考書と一緒に主人の目の前に置いてみたら「こんなん簡単じゃないか」って。どんどん作り始めちゃったんです(笑)。木を曲げたりして作るのですが、すごく難しいの。私のダメ出しもあり、試作品が山ほど出きちゃいました。



Q. とても素敵ですね。理想的なご夫婦。最後に、今後の展望やミニチュアフードを始めたい人にメッセージがあればお聞かせください。
はるかぜさん
はるかぜさん

やはり、いくつになってもやりたいことをやるだけ。悩んでるより踏み出した方が絶対に人生楽しいです。全ての行いは、後に必ず役立ちます。引き出しを増やすことは人生を豊かにしますしね。だから何をやっても無駄なことはないと思います。



Q. 名言です。泣きそう。
はるかぜさん
はるかぜさん

間違いなく今の私は、そうやって踏み出したことで、思いもしなかった良い方向に向かっています。ミニチュアフードの講師になって、いろいろな方と知り合い、豊かな時間を得られました。やはりあの時、行動を起こしてよかった。だからこそ、「いつからでも遅くない」って、みんなに言いたい。60歳からでも違う人生を歩んでる私が言うのだから間違いないでしょ。考えるよりも走り出した方が人生楽しいです。



【編集後記】
インタビューする仕事をしていると、エネルギッシュでパワフルな方に出会うことが多々あります。そんな方々ですが、大きく分けて「①元気を与えてくれる人」「②世界観に引き込むパワーのある人」の、2種類がいるように感じます。いずれもすごい方で、学びが多いのですが、後者をインタビューすると、終了後は、マラソンを走り切った時のようにエネルギーを消耗し切ってしまうことが多いです。
はるかぜさんは完全に前者で、インタビューを終えて帰宅する時、日常に疲れて少し霞んでいた心が晴れ、元気になっている自分がいました。きっとレッスンに通われている生徒さんも同じような経験をされているのでは?と感じます。

「今後もやりたいことをやろうと思っています」とおっしゃる姿には、今の自分を顧みて、「一度きりの人生を楽しめている? やりたいことができてる?」と、自問自答しました。

「考えるよりも走り出した方が人生楽しい」。

この言葉を実践されている、明るくて華やかなはるかぜさん。より多くの方がこの記事と出合い、2023年を笑顔で過ごせる、楽しみに溢れた一年にしていただけたら嬉しいです。
はるかぜさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会講師
東京都出身、千葉市在住。クレイフラワー教室yu-hana認定教室・認定講師、DECOクレイクラフト認定講師。カルチャーや自宅で教室を開催中。モットーは「教える、習うと言うより、一緒にまず楽しむ」。
●活動の様子や新作を掲載しているインスタグラムはこちら
●ミニチュアフード展「A Little Bite of Japan 2023」の詳細
日にち:2023年3月9日(木)〜15日(水)
場所:渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン 5階  +Q(プラスク)グッズ内 Event Stage 5A

●インタビュー/tom
日本や米国NYを中心に、魅力的な人やスポット、伝統文化などを取材しています。モットーは、受け取った人の明日が、より豊かでおもしろくなる情報発信。

※インタビューの内容の中に、現在の協会のシステムと異なる部分もありますが、
会員さんのお話の内容当時のものです。ご了承くださいませ。