インタビュー

2019.10.29

第9回 日本ミニチュアフード協会会員インタビュー【Kinjiroさん】 | 日本ミニチュアフード協会

樹脂粘土などで作る「ミニチュアフード」の普及に取り組む「日本ミニチュアフード協会」(以下協会)。作り方が学べる協会ですが、会員になるとさらに楽しみが広がります! 本インタビューでは、講師やアーティストとして活躍する会員の皆さまに、それぞれが感じた魅力や活動の内容を教えて頂きます。第9回目は、大阪で「趣味クラス」を2教室担当するKinjiroさん。リアリティーを追求した繊細で美しい作品と、それを生み出す研究熱心な人柄にファンが多い人気講師の一人です。「ミニチュアフードと出会って人生が豊かで楽しくなったんです!」と満面の笑顔で話す彼女の魅力に迫りました。


「NYでの展示会用に製作した作品」

Q. ミニチュアフードを始めたきっかけは?
Kinjiro
Kinjiro

双子の息子が中学受験を終え「自分のために新しいことを始めたい」と思っていた時、新聞広告で見かけたのが最初です。「何これ可愛い! やってみたい」と、衝撃が走りました。自分で作りたいと思い、教室をインターネットで検索した時に辿り着いたのが協会でした。決め手は、習って半年後には「松花堂弁当」が作れるようになれるというスピード感。すぐに受講することに決めました。
Q. 早く作品を作れるようになりたかったのですね。
Kinjiro
Kinjiro

「認定コース」は、1年かけて12回のレッスンを学ぶのですが、当時、半年で12回分学ぶプランがあり、私は半年プランで受講しました。
ただ、教室に申し込んだのが8月で、開講する10月まで2カ月間ありました。待ちきれなかった私は、本と材料を購入。自力でパンを作ったのですが、これが大変で…(笑)。プロに学ばないと上手く作れないことを実感しました(笑)。「ちゃんとしたものを早く作れるようになりたい!」と、教室が待ち遠しくてたまらなかったです。
Q. 参加された教室の担当講師は、代表の野津さんだったそうですね。
Kinjiro
Kinjiro

そうなんです。「ええ?!本当に?」って感激しました! 教え方も、生徒それぞれの良いところをしっかりと褒めて伸ばしてくださり、とても楽しい時間でした。
私は「ミニチュアフードは1㌢以下に、とにかく小さく作らなくてはいけない」と、勝手に思い込んでいたのですが、1回目の教室で「ご自身が可愛いと思えるサイズで、好きなように作ってくださいね」と優しく声を掛けてくださり、緊張が一気に解けたことを今も覚えています。
また、初回のパンケーキ作りでは、厚さの程度や、焦げ具合などを個人で選べることが印象的でした。同じ見本を見ながら作る課題でも、自分らしさを表現できることを知り、ミニチュアフードの可能性と奥深さを感じました。

「NYでの展示会用に製作した作品」

Q. 教室を受講してみた感想は?
Kinjiro
Kinjiro

私が参加したクラスは、パン屋に勤めていた人、板前だった人などバラエティーに富んだ6人でした。情報を共有したり、会話が飛び交い、楽しい仲間になりました。
また、次の課題について、配置や盛り付けを考える宿題が出るのですが、この作業で日常の楽しみが増えました。例えばパン屋に入る時、以前なら「どれを食べようかな」という目線でしかありませんでしたが、今は「これ作ってみたい。どう表現しよう」と、視点が変わりましたね。
性格上、どうしても質感などをじっくりと観察した上で制作したいため、安価で手に入りやすいものは自ら購入して作りました。パンの課題の時は、フランスパンのパリパリ感や、メロンパンの焦げ目の雰囲気を表現したくて、パンを10個以上購入。持ち帰りの方法も形が崩れないように、店員さんにあれこれ注文をつけちゃって…(笑)。今となっては恥ずかしい話なのですが、楽しすぎて全力で取り組みました。


Q. 「認定コース」を終了された後、勉強熱心な人柄とセンス、上達ぶりを買われ、協会の「アシスタント講師」にスカウトされたと伺いました。その時の感想は?
Kinjiro
Kinjiro

まさに晴天の霹靂でした! 「私が人に教えるだなんて」と、本当に驚いて…。
ミニチュアフードに携わりたい思いはもちろんありましたが、責任重大ですので、家族に相談しながら三日間悩み、引き受けることを決断しました。
決め手は「こんな光栄なことはないのだから、全力でやってみなさい!」という母の言葉です。心から喜び、背中を押してくれました。
Q. アシスタント講師を1年間務められた後、現在は「趣味クラス」の講師としてご活躍されています。教室の魅力を教えてください。
Kinjiro
Kinjiro

趣味のクラスは、半年ごとに新たな課題を仕上げます。「認定コース」終了者でしたらどなたでも参加できるので、課題作品が気に入った時、仲間と集まって作りたい気分になった時などに、気軽にお越しいただけると嬉しいです。
「趣味クラス」の一番の魅力は、仲間みんなで集まれるところです。私自身が、一人で黙々と作るより、みんなで集まって作品を披露し合ったり、話をしたりする方がアイデアが膨らむタイプなので、大好きな場所になっていますね。課題も、参加していただいた方の「技のブラッシュアップ」「創作意欲の刺激」に繋がるようにと、毎回気合いを入れて考えています。

「趣味クラスのカリキュラム」


「趣味クラスのカリキュラム」

Q. Kinjiro先生の課題はセンスが良くて評判です。次回の課題である「シックな西洋菓子店」も、おしゃれなケーキが並び「これをお部屋に飾りたい!」と興奮してしまいました。課題を考える時に心掛けていることはありますか?
Kinjiro
Kinjiro

生徒さんに教えるためには、私自身が倍以上の知識や経験がなくてはいけないと思っています。人によって得意、不得意があるのは当たり前ですので、私が提示した方法が正解という訳ではないんです。ですので、課題を作る時には、自分が想定できるあらゆる方法を試し、質問やアドバイスを求められた時に対応できるように心掛けています。
また、教室では生徒さんから「こんな方法が良かったよ!」と教えて頂くこともあります。学生や会社員の方、ベテランさんまで、バラエティー豊かな面々が集うので、良い刺激を受けています。今回の課題「シックな西洋菓子店」は、生徒さんからの「棚を作りたい」というリクエストから考案しました。北海道や関東、関西など全国に9教室ある「趣味クラス」の中でも関西教室ならではの学びもご準備してお待ちしていますので、ぜひ参加してくださいね!

「シックな西洋菓子店」

Q. 今年8月には、西武池袋本店(東京都豊島区)の催事で、和菓子作家・坂本紫穗(紫をん)さんの商品をミニチュアで表現するコラボレーションもされています。水菓子を透明感溢れる作品で表現されていたり、美しい茶室をリアルに表現されていたりして、とても好評だったと伺っています。
Kinjiro
Kinjiro

協会からお話を頂き、「こんな楽しいことはない!」と無我夢中で取り組ました。百貨店での販売はこれまでに何度も参加しましたが、コラボレーションは初めてでしたので緊張しました。
和菓子作家・紫をんさんの和菓子が瑞々しくて可憐でしたので、「彼女がどんな思いで作られたのか」「展示にはどんな方が来られるんだろう」と、思いを巡らせながら、時間を掛けて全力で取り組みました。調べれば調べるほどアイデアが溢れて止まらなくなり、楽しい挑戦ができました。

和菓子コラボの作品


和菓子コラボの作品

Q. 来年も協会主催のイベントへ参加するそうですね。ご活躍が楽しみです。来年や今後に向けて、展望を聞かせてください。
Kinjiro
Kinjiro

イベントへの参加やコラボレーションは、できる限り積極的に参加したいと思っています。教室としてのイベントは、関西に数多くのカルチャーセンターを所有されている「神戸新聞カルチャー」さん主催の「制作作品展示会」に参加予定です。今年も開催したのですが、かなり大規模な作品展でみんな大興奮でした。「展示会場に自分の作品が並ぶ貴重な体験ができた!」「SNSでの投稿では知り得ない、お客さまのリアルな反応を間近で見れた」と、参加した生徒さんにとても喜んでいただきました。
将来のことは、今に一生懸命過ぎて、これまで考えてみたことがなかったです。ただ、一つ言えるとするなら「自分の可能性を信じて、何にでもチャレンジし続けたい」ということでしょうか。そもそも、ミニチュアフードを始めた時、まさか自分の生きがいになるとは思っていませんでした。一歩を踏み出して本当に良かったと実感しています。
今日より若い日はないですから! 日々、楽しみながら前進したいです。


Kinjiroさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会 認定講師/スペシャリスト
講師としての活動
「趣味クラス」…「よみうり文化センター天満橋」「三宮KCC」にて開講中

Hinasukeさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会アーティスト
展示・販売
・横浜高島屋販売・展示
・西武池袋「菓子博」販売
・ANIME NYC展示
・NYC「RESOBOX」展示会販売

作品や近況は下記のインスタグラムアカウントでご覧いただけます
kinjiro_miniature
hinasuke77

インタビュー /末永朋子
広島在住のライター、イラストレーター。NYを拠点に、日本文化を世界に発信する「RESOBOX」の広報も務める。

※インタビューの内容の中に、現在の協会のシステムと異なる部分もありますが、
会員さんのお話の内容当時のものです。ご了承くださいませ。