インタビュー

2021.10.15

第13回 日本ミニチュアフード協会会員インタビュー【sayakaさん】 | 日本ミニチュアフード協会

日本ミニチュアフード協会会員さんへインタビュー 第13回

樹脂や粘土などでできたミニチュアフード。その作り方を学べる日本ミニチュアフード協会(以下協会)の会員さんをインタビューする本ページでは、アーティストたちを深堀りし、豊かな個性を読者の皆さまにお伝えしています。

第13回目は、協会で唯一「ミニチュア陶芸アンバサダー」の肩書きを持つsayakaさんをZoomでインタビュー。繊細でキュートな作品がズラリと並ぶInstagramのフォロワーは、なんと3000人以上! 人気の秘密を探るべくZoomでインタビューしました。自分が納得する可愛さになるまで何時間でも作成し続けるストイックさ、そして〝ゆるふわっ〟とした温かい雰囲気を併せ持つsayakaさんの魅力に迫ります。

Q. 初めまして。センス抜群な作品の数々をInstagramで拝見し、「技術がすごい!いつからミニチュアを作られている方なんだろう…」と、インタビューを楽しみにしていました。また、野津先生とのツーショットを見て、温かい雰囲気でお話ししやすそうな方なのでは?と想像していましたが、まさに予想通り!緊張がほどけました。
sayakaさん
sayakaさん
そんな風に言ってくださって恐縮です。私は根っからのミニチュア好きで、幼い頃から、小さなものを手作りして遊ぶのが大好きでした。小学3年生の頃には、自作のミニ紙袋やビーズのアクセサリーを地元のフリーマーケットで販売していたんです。ミニ紙袋は好きな紙を切り抜き、底や取っ手を取り付けた直径3㌢程度のもので、「可愛いわね」とたくさん購入してくださるお客様もいらっしゃいました。


Q. 自作のミニ紙袋を販売する小学生! 初めて聞きました。本当に生粋のミニチュア好きですね。 ものづくりのキャリアは小学生時代からと聞き、作品のクオリティーの高さに納得しました。美術を専門的に学ばれたりされたのですか?
sayakaさん
sayakaさん
美術を専門に学んだことはないんです。遊び感覚で入れ物を見つけてはガラスのミニチュア動物だとか、砂などを使って飾り付けを楽しんだり、小学生時代に続いて中学生時代も、ものづくりを続けていて手芸用品巡りが至福の時でした。高校生になっても卒業まで美術の授業を選択し、美大へ進学する人に混じって、ただただ作品作りを楽しんでいました。
転機は高校一年の時。大病を患ってしまい、闘病生活を送ることになりました。その時、食事が全く取れない辛さを体験。その後、食べることができるようになった時の回復力に感動し、「食事の大切さを多くの人に伝えたい」と強く思うようになり、「食の道」に進みました。その後、大学に進学して管理栄養士の国家資格を取得。卒業後は病院やクリニックで働いていました。


Q. そうだったのですね。今、画面を通して見えるsayakaさんの明るい表情からは想像できませんでした。ご病気は完治されたのでしょうか?
sayakaさん
sayakaさん
今は完治して元気です。

Q. それは安心しました。病院やクリニックで働かれていたsayakaさんですが、現在は完全にミニチュアフードだけをお仕事にされていますよね。経緯を教えていただけますか?
sayakaさん
sayakaさん
病院に勤めていた時に、料理のシロップ作成でのほんのり桜色に色付けする作業があったり、クリスマス会用のもみの木クッキーやお城のケーキなどを可愛く作成する機会があったり、クリニックでの栄養相談をさせていただく時に、食事模型(食品サンプル)を使ってお話させて頂いていました。すると、昔の記憶が沸々と蘇ったのか「ああ、ものづくりがしたい」「食品サンプルのミニチュア版を作成したい」「ものづくりの職人になりたい」という思いが込み上げてきて…。インターネットでものづくりの職人について検索してみたり、ミニチュアフードのキットを購入して自作してみたりするようになったんです。そして、紆余曲折した結果、協会のHPに辿り着き、体験教室へ行くことにしました。


Q. お仕事の中で食品サンプルに触れることになったのも、なんだか運命的ですね。そして、まずは体験教室に行かれたのですね。
sayakaさん
sayakaさん
はい。実はネットで購入したミニチュアフード作りのキット(協会のものではありません)で手が荒れしてしまったことがネックになっていて、ミニチュア作成を趣味や仕事にできるか、確かめたいと思いました。結果的に、たまたまセットになっていたレジンと私の肌との相性が悪かったことが分かって、ほっとしたことを覚えています。
あと、実は私はアイドルが好きなのですが(笑)、協会を検索した時に野津先生のアイドル級の可愛さに惹かれ「お会いしてみたい!」という狙いもありました。 また、レッスン中にも「私も野津先生のように可愛くなれるかしら?」と考えていました(笑)。
Q. sayakaさん! 面白すぎです(笑)実際に会ってみていかがでしたか? あ…、間違えました。体験されてみていかがでしたか?
sayakaさん
sayakaさん
それはもう!めちゃくちゃ可愛かったです‼︎(笑)気合入れて一番前の席に座ったのですが、オーラが凄くてドキドキしてしまい、チラチラとチラ見する怪しいオタク体験受験生になってしまいました。もちろんミニチュアレッスンも最高に楽しかったです。手荒れの不安も解消できたので、その日のうちに入会し、教室に通うことにしました。




Q. コントみたいで面白い(笑)。そんなsayakaさんですが、教室に通い始めるとすぐに「圧倒的なセンスと技術で素晴らしい作品を作られていた」と聞いています。
sayakaさん
sayakaさん
とんでもないです。最初は可愛いものを生み出す「感覚」がなかなか湧いてこなかったんです。通い始めて4カ月後、教室でクレープに焼き色を付けていた時、「この模様、とっても可愛い! 上手くできた」と、ものづくりをしていた頃の感覚が戻り、嬉しかったことを今も覚えています。その時、野津先生もとても誉めてくださって…(喜)。忘れられない瞬間でした。その後は、ただただ没頭する日々です。

Q. それは作家さんならではの感覚なのでしょうね! なんだかかっこいいです。
そして、実はプロフィールを拝見した時から気になっていたのですが、2017年から教室に通い始め、同年にミニチュア陶芸作りを習得し、翌18年には「ミニチュア陶芸アンバサダー」に就任されていますよね。この経緯について教えてもらえますか?
sayakaさん
sayakaさん
「ミニチュア陶芸」は本物の器をミニチュアサイズにしたものを作れる協会講座で、認定レッスンに通っている同時期に受講できるものです。リアルな器にミニチュアフードを載せる感覚が想像以上に本当に楽しくて、作りたい器のデザイン画を描いたり、型紙を作ったり…。ミニチュア陶芸とミニチュアフードのセットが、自分の中で運命の出会いのようになっていました。協会からは「立体作品や器の形状など自由な作風」を評価され、18年に協会から「〝ミニチュア陶芸アンバサダー〟になってほしい」とオファーがありまして、魅力を普及すべく活動しています。今では自宅に電気窯を購入し、作家活動のほか、協会から講師のご依頼もあり、全国の認定レッスンに通う生徒様と卒業生向けにオンラインレッスンも実施させてもらっています。




Q. 2019年からは協会の認定講師になり、副業ではなく完全に転職して活躍されていますね。いつ頃から講師を本業にしたいと考えていたのですか?
sayakaさん
sayakaさん
実は体験教室に行った時には既に「仕事にできたら嬉しいな」と考えていました。
2019年10月の資格取得時には既に本業にすると決断していて、instagramにて自分のお教室として11月にH Pを開設したことを告知しました。ありがたいことに12月から体験と認定レッスンのご受講希望の方からご連絡があり、コロナ禍もなんとか乗り越えて、現在「調布ミニチュアフード教室」(東京都調布市)としてお教室を継続させていただいています。また、協会から、作家兼講師としての活動を評価して頂き、協会のお仕事(ワークショップ、ミニチュア陶芸講師など)もいただけるようになりました。ミニチュア陶芸は5〜6カ月レッスンを、4クール継続して参加してくださっている方もいます。対面レッスンとオンラインレッスンで、ミニチュアろくろレッスンも開講し、生徒さんと共に新しいことにも挑戦しています。


Q. ミニチュアフード教室の世界でも、オンラインが浸透していますね。コロナは本当に厄介ですが、どこに住んでいてもネットを通してやりたいことに挑戦できる環境が整ったことは良いことでしたよね。
sayakaさん
sayakaさん
ネットは本当にありがたいですね。最近ではオンラインで協会主催のレッスンとして、フォークやナイフを作るミニチュアカトラリーレッスンも担当させて頂きました。
協会オンラインショップ(ミニコレ )も開設されたので、レッスンで習ったカトラリーを作品として取り入れて販売してくださっている生徒様もいます。




Q. 教室開校後、すぐにコロナ禍…。想像しただけで大変さが伝わってきます。集客はどのような手法で行っているのですか?
sayakaさん
sayakaさん
InstagramやHPでの発信が主です。作品写真の撮り方もとても気にしています。
野津先生の写真の撮り方がとても素敵で、講師用や作家用にと、写真について記載されている事や載せられている写真を参考にしています。コロナ禍でしたが、写真の変化とともに投稿文も伝えたい気持ちを込めて記載するようにしました。徐々にInstagramを見て生徒になってくださる方が増え、今はありがたいことに多忙な毎日を過ごしています。
作品も新しいことを取り入れるために研究し続けたいです。




Q. 多忙な中新しい技の研究までされていて感服です。それにしてもInstagramのフォロワー数は努力あってこその成果だったのですね!写真も綺麗ですし、スワイプするたび違った角度の作品が出てきて、見入ってしまいます。先日は「ムーミンバレーパーク」(埼玉県飯能市)内でのワークショップの様子をアップされていていましたね。ムーミンとミニチュアフードの世界観がマッチしていてとても素敵でした。
sayakaさん
sayakaさん
「ムーミンバレーパーク」は、物語に入り込んだかのような夢の国で、自然もいっぱいです。どの景色を切り取っても可愛くて、何度でも行きたい場所の一つになりました。10月は、23、24日にも同施設でムーミン関連のミニチュアを作るワークショップを開催しますのでよかったらお越しください。
※ムーミンバレーパークのHPを経由してご予約できます。


Q. 野津先生とのツーショット写真も素敵でしたよ。可愛いお二人に癒やされました!では、最後に今後の目標や展望について聞かせてください。
sayakaさん
sayakaさん
淡々と! 衰退せず現状が続けば嬉しいです。
あえて言うならば、表参道のヘアサロンで髪の毛を切ったり、まつ毛のエクステに挑戦したりしてみたいです。先生のモデルポージングも憧れますが(^^)♪


Q. sayakaさん、可愛いすぎです! そして、それはsayakaさんがお忙しすぎて実行できないだけなので、是非月内にでも時間を作って、たまには自分にご褒美あげてくださいね!
sayakaさん
sayakaさん
野津先生の可愛さに近づけるように頑張ります♡

sayakaさんの〝ゆるふわっ〟とした世界にぐいぐいと引き込まれ、気付くと2時間半が経っているという楽しい取材でした。
この取材を通してsayakaさんの人気の秘密は、誠実さだと感じました。
自身が決めたことを、しっかりと丁寧に、手を抜かずに実行される責任感の強さがあるからこそ、繊細で素敵な作品を生み出せるし、受講された生徒さんが「この人からもっと学びたい」「一緒に作品を作りたい」と感じるのだと思います。

また、もう朝だと気づいていても寝る間を惜しんで講座の資料や作品作りを続けてしまうストイックさには職人魂を感じました。もはやビジネスではなく、完全にアーティスト! ご自身は野望を抱いてガツガツと励むタイプの方ではありませんでしたが、ファンの一人として彼女の今後が楽しみです。
sayakaさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会認定講師/ミニチュア陶芸教室講師/ミニチュア陶芸アンバサダー

東京都出身・在住。2017年4月に協会のレッスンに参加。その後2018年にミニチュア陶芸アンバサダーに就任。協会員として全国の百貨店や米国NY市での展覧会に出品。2019年から日本ミニチュアフード協会認定講師として活動。ミニチュア陶芸教室の講師も務める。

●作品や近況は下記のインスタグラムアカウントでご覧いただけます
●東京都調布市「調布ミニチュアフード教室」や「趣味のクラス」、ミニチュアコレクションの販売についての情報は下記のURLからご覧いただけます

インタビュー /末永朋子
広島を拠点に全国各地を取材し、執筆やイラスト制作を行う。モットーは、受け取った人の未来が、現在より愛に満ち、豊かになる情報発信。

※インタビューの内容の中に、現在の協会のシステムと異なる部分もありますが、
会員さんのお話の内容当時のものです。ご了承くださいませ。