インタビュー

2021.08.14

第12回 日本ミニチュアフード協会会員インタビュー【miyuさん】 | 日本ミニチュアフード協会

日本ミニチュアフード協会会員さんへインタビュー 第12回

樹脂や粘土などでできたミニチュアフード。コロナ禍で、多くの人の楽しみや癒やしになり、愛好者はさらに広がりつつあります。その作り方を学べる日本ミニチュアフード協会(以下協会)の会員さんは個性豊かでセンスのある方ばかり。本インタビューでは、さまざまな会員さんを深堀りし、作り始めたきっかけや今後の展望を教えていただきます。

第12回目は、丁寧に作り込まれた繊細作品が特徴の、miyuさんをZoomでインタビューしました。「ミニチュアフードとの出会いがなかったら、私は今頃こんなに人生を楽しめていない」と真剣に語るmiyuさん。幸せそうな満面の笑顔でミニチュアフードの魅力について語る彼女に引き込まれる1時間半でした。

Q. こんにちは。綺麗なお姉さんが画面に登場されたので、ドキドキしてしまいました! miyuさんは、2016年4月から日本ミニチュアフード協会の認定講座を受講し、18年から講師として活躍されていますね。まずはミニチュアフードとの出会いについて教えてください。
miyuさん
miyuさん
こんにちは、インタビューを受けるということで、とても緊張しています。
出会いはネット検索です。きっかけは会社の人たちとのたわいの無い会話。「今日はこれからヨガに行くんだ」「週末はゴルフ」など、まわりの方達は趣味の時間を満喫しているのに、自分には全くそれがなくて…。職場と家を往復し、大好きなお酒を楽しんで(笑)。そんな繰り返しの日々を過ごしていたので、私も楽しめることが欲しいと思ったんです。
Q. なるほど。それで趣味を探し、辿り着いたのがミニチュアフードだったということですね。
miyuさん
miyuさん
はい。「自分は何が好きなんだろう?」と思った時、幼い頃からデパートのレストラン街に並ぶ食品サンプルが好きだったと思い出したんです。そこで「食品サンプル作り体験」などをネットで検索していたら、ミニチュアフードが出てきまして、「これだ!!」と心奪われ、一気に夢中になりました。

miyuさんの作品

Q. そうだったのですね。どんなところに惹かれたのですか?
miyuさん
miyuさん
小さいのにリアルで、めちゃくちゃ可愛いところです! 「指先に乗るサイズで、ここまで再現できるなんて!」という驚きもありました。「これを作りたい」と感じ、すぐに教室を検索し、協会の講座へ参加することにしました。
Q. ミニチュアフード作りに惹かれたということは、もともと工作などが好きだったのですか?
miyuさん
miyuさん
考えてみると、確かに好きだったのかも…。NHK教育テレビ(現在のEテレ)で放送された番組「できるかな」で、のっぽさんが作る工作を真似ていた記憶がありますし、スーパーの袋一杯の手裏剣を折り紙で作ったこともありました(笑)。先ほどお話しした食品サンプルに関しても、レストランなどで見かけると、「この卵のつや、本物みたい!」「チーズのとろけ具合、おいしそうー」などと見入ってしまい、
なかなかメニューが決まらないなんてことも(笑)。


Q. それはもう普通の感覚じゃないです(笑)miyuさんは出会うべくして、ミニチュアフードに出会ったとしか言いようがないですね。
miyuさん
miyuさん
この出会いから、私の人生が変わったと言っても過言ではありません。「自分には夢中になれることが何もない。」と思っていたのですが、一気に日常が明るくなりました。
教室が精神的な支えになったことも多々あります。以前の職場でかなりショックなことがあった時、「こんな気持ちでレッスンを受けられるかな…」と、暗い気持ちで教室へ向かった日がありました。でも、レッスンが始まると、嫌な出来事はすっかり忘れ、帰る頃には、「今日のレッスンも楽しかったなぁ」と別人のように元気になっていて…。


Q. とても素敵なエピソードですね。本当にmiyuさんにとってミニチュアフード作りは救世主のような存在なのですね。
miyuさん
miyuさん
レッスンは想像以上の楽しさで、毎回心弾ませながら通っていました。ただ、私はスローペースなので最初は本当に思い通りのものが作れなくて。初めて作ったパンケーキは、分厚いし大きいし、どら焼きのような色に仕上がってしまって…、お恥ずかしい限りです。
Q. そうなのですか?! 野津先生からは熱心でお上手だったと伺いましたよ。
miyuさん
miyuさん
いえいえ。でも、野津先生のような作品を作れるようになりたいと思い、自宅で復習し、沢山作り続けました。パンを作るレッスンの後にはクロワッサンを作りたくなり、7日連続でクロワッサンを求めてパン屋さんに通ったりもしました。


Q.それはストイックですね。実物を見ながら制作したいという思いからですか?
miyuさん
miyuさん
「よりリアルに、より美味しそうに作りたい」という思いからです。
「ケチャップは赤、醤油は黒っぽい」など、色に対する固定概念があると思うのですが、小皿に出してよく観察するとケチャップは黄味もあり、茶色味を帯びていたり、醤油は赤味があったりします。見慣れているものでも、想像と実物ではかなり違ったりするので、実物を見ながら色調合したいですし、写真では分からない裏側や質感などを見ながら作りたくて…。
でもクロワッサンには裏話があって、買って帰ったものの仕事で疲れて作ることなく寝てしまい、翌朝食べちゃったりする日が何日かありました(笑)。
Q. しっかりと観察し、丁寧に作られているからこそ、あの繊細な作品が完成するのですね。miyuさんの集中力の高さと情熱に感服します。1年間の講座終了後、アシスタントを経て、2018年から講師として活躍されていますね。「講師になりたい」と、いつ頃から考えていたのですか?
miyuさん
miyuさん
レッスンの中盤頃、野津先生から「講師になってみては?」とお声掛けいただいたのですが、極度のあがり症なので「人前に立って教えるだなんて、無理です」と、その時はお断りさせていただきました。でも、レッスンの終了が近づくにつれて「この楽しい時間が終わるだなんて、寂しすぎる…」と感じるようになり、自ら「やらせてほしい」と希望しました。かなり勇気が要りましたし、私史上1番のチャレンジだったと思います。


Q.まさに「ミニチュアフード愛」ですね。しかし講師という選択肢の他に、作家として活動するなど、人前に立たずに続けられる方法もあると思うのですが、講師を選ばれた理由は何だったのですか?
miyuさん
miyuさん
自分で作品を作ることももちろん好きですが、他の人たちが作った作品を見るのが本当に大好きなんです。講師になってからは、生徒さんの作品を見て「めちゃくちゃ可愛い! とっても素敵にできたねー!」と、ついついテンションが上がってしまい、女子高生のようにキャーキャー騒いじゃっています(笑)。


Q.無我夢中で楽しむとはこのことですね。ところで人前に立って指導することは慣れたのでしょうか?
miyuさん
miyuさん
実は今でも初回の講座では声や手が震えるほど緊張します。でも、粘土を握った瞬間「どうやったら分かりやすく伝えられるかな」ということに集中できるので、説明に没頭できていると思います。
小さなミニチュアフード作りを教えることは難しく、他の先生方が指導される様子などを見て研究しながら、皆さんに喜んでもらえるクラス作りを目指す日々です。


Q.ストイックで真面目なところ、とても魅力的だと思います。miyuさんに習う生徒さんは幸せですね。最後に今後の目標や展望があったら教えてください。
miyuさん
miyuさん
まずは10月開講予定の「趣味クラス」で、皆さんに喜んでもらえるようなカリキュラムを完成させることです。そして、憧れの武田恵美さんのような講師を目指したいです。武田先生は主に「趣味クラス」で活躍されている人気講師なのですが、回転寿司、焼肉、すき焼きなど、毎回「わぁー!」と目がハートになってしまうような素敵なカリキュラムで、とても尊敬している講師の1人です。
教室を見学させていただいた時、部屋の中央に立って俊敏に前後左右の生徒さんのリクエストに応じている様子を拝見し、職人さんのようで、プロを感じました。「私もヒールを履いて、コツコツいわせている場合ではない!」と感じ、これまで履いていたヒールを脱ぎ捨てて、フラットシューズに変えました(笑)。そのくらい尊敬しています。

10月からの趣味クラスではヒートプレスでのお皿制作もあるそう


Q.着眼点と発想がおもしろい! 温かい雰囲気の中で、楽しくレッスンが進んで行く様子が目に浮かびます。この記事を読まれている方に一言メッセージをください。
miyuさん
miyuさん
ミニチュアフードにちょっとでも興味のある方や迷われている人は、ぜひ一度触れてみて欲しいです。もしもあの時ミニチュアフードに出会っていなかったら、今頃どんな毎日を送っているんだろう…と思うくらい、私の人生は豊かになりました。趣味ができ、楽しい時間ができ、さらに講師になってからは生徒さんが楽しんでくれているのを見て、楽しさはより一層深まっています。野津先生が協会を立ち上げてくださったことに心から感謝していますし、これからも続けていけたら幸せです。


おせちクラスのサンプル作品


今回のインタビューでは「人生を変えてくれた」という言葉が特に印象的でした。「疲れていても没頭できる趣味が持てること」「その趣味を仕事に生かせること」「女子高生のようにはしゃぎながら楽しめること」。大人になってからでも、いつからでも、こんなにもハッピーなことが誰にでも起こりうると考えると、希望が持てますよね。miyuさんの幸せな気持ちをお裾分けしてもらい、活力をもらったように感じます。

また、お話の中で10月開講予定の「趣味のクラス」の内容に関する話題も上がりました。「受講してくれる方がまだ使ったことがない素材や道具を取り入れ、少しでも技術を身に付けながら楽しんでほしい」と、試行錯誤しながらカリキュラム作りをされていましたよ。どんなクラスが誕生するのか楽しみです。
miyuさんプロフィール
日本ミニチュアフード協会会員/認定講師/スペシャリスト

東京都在住。2016年4月に協会のレッスンに参加。その後アシスタントを経て2018年から認定講師。「認定レッスン」や終了者向けの「趣味クラス」を担当。

●作品や近況は下記のインスタグラムアカウントでご覧いただけます

インタビュー /末永朋子
広島を拠点に全国各地を取材し、執筆やイラスト制作を行う。モットーは、受け取った人の未来が、現在より愛に満ち、豊かになる情報発信。

※インタビューの内容の中に、現在の協会のシステムと異なる部分もありますが、
会員さんのお話の内容当時のものです。ご了承くださいませ。